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日外会誌. 91(2): 290-292, 1990


症例報告

高齢で発症し,急速に経過した肝部下大静脈膜様閉塞症の1剖検例

国立南九州中央病院 外科,心臓血管外科
*) 鹿児島大学 医学部第1病理

石部 良平 , 丸古 臣苗 , 田畑 傳次郎 , 豊平 均 , 古園 耕治 , 西村 明大 , 吉田 愛知*)

(1989年2月1日受付)

I.内容要旨
67歳で発症し,急速な経過で死亡した肝部下大静脈膜様閉塞症の1剖検例を経験した.自験例では広岡分類のIb型に属すると思われたが,閉塞膜の中心に小孔を有し,さらに左肝静脈が開存しており,そのため高齢になるまで発症しなかったものと思われる.さらに急速な経過を取った要因としては側副血行路の未発達が考えられた.病理組織学的には膜様部は硝子化した膠原線維よりなり,下大静脈壁に付着した陳旧性血栓とは区別されていた.このような症例では悪性腫瘍等,他の原因により発症するBudd-Chiari症候群と区別がつきにくく,特異な臨床経過をとるものと思われる.

キーワード
肝部下大静脈膜様閉塞症, Budd-Chiari症候群

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