[書誌情報] [全文PDF] (2215KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 91(2): 262-265, 1990


原著

原発性上皮小体機能亢進症における血清および組織内ガストリンについて

山形大学 医学部第1外科(主任:塚本 長教授)

大内 清則 , 亀山 仁一 , 星川 匡 , 松本 修 , 石山 秀一 , 豊野 充 , 塚本 長

(1989年4月10日受付)

I.内容要旨
原発性上皮小体機能亢進症に合併する消化性潰瘍の発生原因の1つとして,上皮小体腫瘍からのガストリン分泌が考えられる.そこで今回,原発性上皮小体機能亢進症に対して,上皮小体腫瘍摘出術を行った14例を対象として,消化性潰瘍の合併および術後経過,術前の血清Caおよび血清ガストリン値,術前後での血清ガストリン値の推移,上皮小体腫瘍内ガストリン陽性像および局在などについて検討した.その結果,消化性潰瘍は,3例(21%)にみられ,2例は術後自然治癒した.術前の血清Ca値は潰瘍合併例で非合併例に比較して,特に高値を示す傾向はなかったが,術前の血清ガストリン値は潰瘍合併例で高値を示す傾向にあった.術前後での血清ガストリン値の推移についてみると,術後血清ガストリン値は術前に比較して,低下する傾向にあった.また,腫瘍内ガストリン陽性像では細胞質内顆粒にガストリンが存在し,14腺中10腺にガストリン局在を認めた.
以上より,原発性上皮小体機能亢進症において,上皮小体腫瘍からのガストリン分泌は消化性潰瘍の発生原因の1つとして考えられる可能性がある.

キーワード
原発性上皮小体機能亢進症, 消化性潰瘍, 血清ガストリン, 上皮小体内ガストリン


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。