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日外会誌. 91(1): 6-16, 1990


原著

サイクロスポリン A を使用したSubrenal Capsule Assay の基礎的研究

名古屋大学 医学部第2外科学教室

山本 邦雄 , 山内 晶司 , 高木 弘

(1989年2月3日受付)

I.内容要旨
通常マウスの腎被膜下に人癌を移植し,制癌剤の効果をみる方法(Subrenal capsule assay)は臨床に近い優れた実験系とされているが,宿主反応の影響が強く,腫瘍が長期間生着できない欠点がある.そこで,通常マウスに免疫抑制を行ったうえで,腫瘍を通常マウスの腎被膜下に移植し,消化器癌の各種制癌剤に対する感受性をみるための基礎的検討を行った.
宿主免疫反応の抑制方法として,X線照射Cyclophosphamide,およびCyclosporin Aの投与を行い,腎被膜下に移植した腫瘍の増殖態度を比較検討したところ,Cyclosporin Aの投与において最も著しい宿主反応の抑制と良好な腫瘍増殖がみとめられた.そこで,Cyclosporin Aの至適投与法について検討したところ,Cyclosporin A 50mg/kg連日投与が宿主の免疫反応をほぼ完全に抑制できる必要最低限の投与量である事がわかった.
Cyclosporin Aを投与したマウスに対し,各種制癌剤を投与する場合,担癌マウスの体重減少が20%以内に留まり,比較的早期に体重減少の回復を認めるよう薬剤の投与量を設定した.その結果Mitmycin Cは5mg/kg,Cisplatinumは4mg/kg Cyclophosphamideは100mg/kg腹腔内1回投与,5-Fluorouracilは30mg/kgを隔日3回腹腔内3回投与が最適と考えられた.
以上,基礎的検討によりCyclosporin Aと制癌剤の投与量を設定した本法は,消化器癌における制癌剤感受性試験として臨床応用が有望と考えられた.

キーワード
腎被膜下移植法, 制癌剤感受性試験, 消化器癌, Cyclosporin A


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