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日外会誌. 91(1): 1-5, 1990


総説

麻酔における安全性の向上

山口大学 医学部麻酔・蘇生学教室
*) 第36回日本麻酔学会会長;教授 
**) 第36回日本麻酔学会幹事;講師 

武下 浩*) , 海江田 令次**)

(1989年11月25日受付)

I.内容要旨
近年の麻酔学の進歩は,著しく麻酔の安全性を高めた.その主な理由は,より安全な麻酔薬の登場とモニタの発達,普及にある.日本ではイソフルレンと国産のセボフルレンがやがて市販されるであろう.静脈麻酔薬は,その薬動力学が詳細になると,更に応用範囲が広がるかも知れない.モニタでは,カプノグラム,パルスオキシメータも広く用いられるようになった.安全な麻酔のためには,適切な麻酔リスクの評価が大切である.既存のいろいろな評価法が参考になるが,予備力の評価には運動負荷が有用である.患者管理についていえば,麻酔中は十分な呼吸循環管理ができるので,むしろ術後管理が問題になる.今後は,虚血性心疾患を持つ症例の麻酔管理が重要となるであろう.硬膜外麻酔は,術後鎮痛以外に全身麻酔との併用が行われている.全麻と硬麻の併用は,症例により術中管理に有用で術後合併症の軽減に役立つと思われる.麻酔の安全に関わるその他の因子としては,麻酔科医の教育,麻酔科医の業務量などがある.安全な麻酔のためには,外科医と麻酔科医との緊密な連携が不可欠である.

キーワード
麻酔薬, モニタ, 外科と麻酔

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