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日外会誌. 90(11): 1939-1945, 1989


症例報告

腹部限局型解離性大動脈瘤の2症例の治療経験

藤田学園保健衛生大学 医学部外科学教室

木村 忠広 , 尾辻 和彦 , 河崎 能久 , 花井 厳人 , 佐野 真 , 坂野 哲哉 , 吉﨑 聰

(1988年11月10日受付)

I.内容要旨
われわれは腎動脈以下の腹部大動脈に限局した解離性大動脈瘤の2症例を経験したので報告した.解離性大動脈瘤に対する分類はDeBakeyの分類が一般的に広く用いられている.しかし,腎動脈以下にintimal tearを有する解離性大動脈瘤はこの分類には含まれない.それゆえ,他の解離性大動脈瘤とは臨床時特徴が異なる.
本症の頻度は文献的には2~14%である.外傷性の原因を除いた本症の本邦での報告例は,われわれの2症例を含めて16例を数えるにすぎない.本症の診断には超音波検査, CT検査,動脈造影,DSA検査がある. その内,CT検査が術前検査としては最も有用である.しかし, intimal tearの確認には動脈造影が必要である. 本症を含めた解離性大動脈瘤の治療法としては降圧療法が最も一般的であるが, とりわけ本症に対する治療としては人工血管による置換術が有用であると考える.

キーワード
解離性大動脈瘤, 炎症性腹部大動脈瘤, 腹部大動脈瘤


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