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日外会誌. 90(11): 1873-1878, 1989


原著

消化管平滑筋性悪性腫瘍の臨床病理学的検討

金沢大学 医学部第2外科

角谷 直孝 , 米村 豊 , 大山 繁和 , 小坂 健夫 , 泉 良平 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(1988年12月21日受付)

I.内容要旨
消化管平滑筋性悪性腫瘍25例(食道2例, 胃11例,十二指腸2例,小腸9例,直腸1例)を対象として,その悪性度を腫瘍径,核分裂数,細胞密度, DNA ploidy patternの点から検討した.腫瘍径5cm以上,核分裂指数3.0/mm2以上,細胞密度3.0/0.0004mm2以上,DNA ploidy patternがaneuploidyのものでは腫瘍径5cm以下,核分裂指数3.0/mm2以下,細胞密度3.0/0.0004mm2以下,DNA ploidy patternがdiploidyのものに比べ再発,死亡率が高い傾向にあった.重回帰分析による検討では,早期の再発予測には核分裂指数が,晩期の再発予測には細胞密度,腫瘍径が有用と考えられた.再発形式としては肝,肺への血行性転移が7例,腹膜播腫が2例,局所再発が4例に認められた.局所再発をきたした4例の内訳は胃2例,小腸2例,直腸1例であり,これらはすべて血行性転移を伴っていた.局所再発をきたした胃の2例は腫瘍径10cm以上で胃外型の発育を示すもので手術は局所切除がなされていた.また直腸の1例は経肛門的腫瘍切除がなされたが,剥離面陽性のため局所再発をきたしたと考えられた.十二指腸の2例は膵頭十二指腸切除が行われたが,ともに肝転移をきたした.以上から本症の手術に際し腫瘍径の大きなものでは切除断端,剥離面に十分な配慮が必要であり,no touch isolation methodなどの血行遮断を考慮に入れた操作も必要と考えられた.本症の再発後の治療には積極的な外科切除と集学的治療が有効と考えられた.

キーワード
消化管平滑筋性悪性腫瘍, 腫瘍径, 核分裂数, 細胞密度, DNA ploidy pattern

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