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日外会誌. 90(11): 1840-1847, 1989


原著

移植と動脈硬化:平滑筋細胞とマクロファージの動態について

順天堂大学 医学部胸部外科

笹栗 志朗

(1988年12月28日受付)

I.内容要旨
Accelerated coronary arteriosclerosisは,移植心に生じる慢性期の重要な合併症であるが,その発生機序,病態は不明な点が多い.本研究では,家兎に心臓移植及び血管単独の移植を行い,平滑筋細胞とマクロファージに対するモノクローナル抗体を用いて,それぞれの血管内膜病変を免疫組織化学的に分析し, 2種類の細胞の動態を検討した.
血管移植,心臓移植共に誘導された動脈硬化性病変における構成細胞成分は,同一であった.即ち,移植に伴う血管内膜肥厚は,中膜よりの平滑筋細胞の内膜への遊走と,内膜内での増殖が主体をなしていた.マクロファージの内膜内への浸潤,泡沫化は, コレステロール負荷により惹起され,移植臓器の環境因子による二次的反応であった.心臓移植のみならず血管単独移植にても動脈硬化性変化が誘導できたことは,血管そのものが,移植に伴う免疫反応のinitial targetであることを示唆するものであると考えられた.

キーワード
移植, 動脈硬化, 平滑筋細胞, マクロファージ

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