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日外会誌. 90(10): 1793-1798, 1989


原著

胸部外傷の治療成績

市立島田市民病院 呼吸器外科

 カレッド・レシャード , 平田 敏樹 , 糸井 和美 , 高橋 豊 , 室 恒太郎

(1988年4月28日受付)

I.内容要旨
過去4年間に145例の胸部外傷を含む1329例の外傷例を経験し,その発生原因や治療成績について検討した.男女比は2.2:1,平均年齢は36.5歳(0~95歳)であった.外来にて治療された502例および入院患者827例の年齢別ピークは10歳代にあり,9歳以下および50歳代がこれに続いた.事故原因別では,交通事故が537例(40.5%)に,また332例(25%)は転倒や転落によるものであった.60歳代以上では転落または転倒が多く,50歳代以下では交通事故が多かった.一方,死亡した59例の死因は交通事故および転落(倒)が各々47%,27%を占めていた.処置としての外科療法は150例に施行され,その内訳は開胸術11例,開腹術18例,開頭術62例,複数術5例で,観血的整復術は54例であった.胸腔,腹部や頭部ドレナージは56例に施行され,206例にギプス等の固定処置が行われた.人工呼吸器は10例に使用され,その使用適応例は,Flail chest,心呼吸不全,意識障害が各2例,COPD,気管支断裂,低酸素血症が各1例であった.開胸術施行例は11例で,その内訳は急性期では,Flail chestが2例,肺挫傷4例,気管支および横隔膜破裂が各1例で,亜急性期では血腫残存が3例で,全例の予後は良好であった.

キーワード
胸部外傷, 開胸術, 人工呼吸, Thoracotomy, Hemo-pneumothorax


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