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日外会誌. 90(8): 1270-1273, 1989


症例報告

胃早期癌に併存した腹部大動脈瘤の2例
ー本邦報告例をもとにした治療方針の検討ー

筑波メディカルセンター病院 外科

軸屋 智昭 , 福田 幾夫 , 尾崎 梓 , 辻 勝久 , 重田 治 , 長谷川 伸之

(1988年8月9日受付)

I.内容要旨
腹部大動脈瘤と胃早期癌を合併した2例を経験したので報告する.症例1は72歳男.心窩部痛を主訴として入院し,腹部大動脈瘤と胃早期癌を診断された.二期的手術を計画し,胃切除術後約8カ月目に腹部大動脈瘤切除人工血管置換術を施行した.症例2は70歳男.上腹部痛を主訴として入院.腹部大動脈瘤と胃早期癌の合併と診断された.全身状態不良のため,両疾患を一期的手術によって根治せしめた.
腹部大動脈瘤と腹部悪性腫瘍合併例の治療方針についてはいまだ一定の規準はなく,いろいろな考え方がある.本邦において,腹部大動脈瘤と腹部悪性腫瘍の合併例は自験例を含め28例報告されており, うち詳細の判明した18例について欧米のそれと比較し,診断時期分類,合併悪性腫瘍の傾向,手術方針について検討を加えた.

キーワード
腹部大動脈瘤, 腹部悪性腫瘍

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