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日外会誌. 90(8): 1266-1269, 1989


症例報告

Consumption coagulopathyを伴う解離性大動脈瘤と胃潰瘍出血(1経験例からの考察)

浜松医科大学 第2外科

今野 弘之 , 阪口 周吉 , 小泉 貴弘 , 青木 克憲

(1988年6月23日受付)

I.内容要旨
解離性大動脈瘤を合併した胃潰瘍及び術後吻合部潰瘍に対し瘤内血栓形成によるconsumption coagulopathyが加わり,潰瘍出血を繰り返した1例を経験したので報告する.
症例は68歳男性, 2年前よりDeBakey III型解離性大動脈瘤で経過観察中に出血性胃潰瘍のため当科に入院した.広範囲胃切除術を施行したが,術後4週目に吻合部潰瘍が発生し,再び出血した.抗潰瘍療法のみでは出血のコントロールができず,consumption coagulopathyに対する治療としてヘパリンを投与すると,凝固因子の改善に伴い出血がとまり潰瘍も瘢痕化した.
本例の潰瘍病変の発生には解離性大動脈瘤による阻血が関与している可能性が強く,また瘤内血栓形成によるconsumption coagulopathyが主因となって潰瘍出血を引き起こしたものと考えられた.胃潰瘍の発生と出血に重要な示唆を与えた貴重な症例と考えられる.

キーワード
consumption coagulopathy, 胃潰瘍, 大動脈瘤


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