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日外会誌. 90(8): 1258-1261, 1989


症例報告

特発性大網捻転症の1例および本邦報告例の検討

北海道大学 医学部第1外科(主任:内野純一教授)
*) 釧路労災病院 外科

齋木 功 , 大沢 昌平 , 有里 仁志 , 川俣 孝*) , 越野 勇*) , 奥 哲男*) , 新田 一雄*)

(1988年8月29日受付)

I.内容要旨
特発性大網捻転症は比較的稀な疾患であるが,最近,本症の1例を経験したので報告する.
症例は37歳の男性.主訴は回盲部痛.発熱・嘔吐・下痢等はなかったが,発症後3日目に疼痛が増強し,白血球数増多を認めた.急性虫垂炎の疑いで開腹したが,虫垂には急性炎症所見を認めず,黄色調の腹水の軽度貯溜と12×5×1cmの暗赤色調を呈する大網を認めた.この大網は右側末梢部で,時計方向に7回転捻転していた.捻転解除後,肉眼的に改善を認めないため, この部の大網を健常部で切除し,虫垂切除を併施した.病理組織学的に大網血管の拡張・充血像と周囲脂肪組織への著明な出血像を認めたが,嚢腫などの病変はなかった.
自験例を含む本邦18例の本症について検討,考察を加えた.

キーワード
特発性大網捻転症

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