[書誌情報] [全文PDF] (1309KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 90(2): 306-309, 1989


症例報告

肝原発 Malignant Fibrous Histiocytoma の1例

金沢赤十字病院 外科
金沢大学 医学部第1病理

大山 繁和 , 浅野 健 , 佐々木 誠 , 勝田 省吾

(1988年4月25日受付)

I.内容要旨
肝原発のMFHの1例を経験した.症例は64歳男性で,主訴は胃のもたれ感であった.入院時現症では,右季肋部に軽度の圧痛を認め,入院時検査成績では,血沈の亢進とCRPの強陽性がみられた.腫瘍は,肝右葉後区域にあり,大きさは7.4×7.6cmで,CTscanでは,辺縁不整で境界明瞭なlow density areaとして描出された.腹部血管造影では,hypovascular~avascular tumorであった.腫瘍は一部漿膜に露出し,横隔膜に浸潤していたため,横隔膜の合併切除を伴う肝右葉切除が施行された.病理組織学的検査にて,本症に特徴的なstoriform patternがみられ,腫瘍細胞は,fibroblast like cellとhistiocyte like cellより成ることより,MFHと診断された.
肝原発のMFHは,文献的に4例の報告をみるのみで,本例は5例目とおもわれ,極めてまれであるので,ここに報告した.

キーワード
Malignant Fibrous Histiocytoma, 肝臓


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。