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日外会誌. 90(2): 280-284, 1989


原著

感染性心内膜炎に対する手術治療

金沢大学 医学部第1外科

渡邊 剛 , 岩 喬 , 三崎 拓郎 , 川筋 道雄 , 榊原 直樹 , 向 歩 , 松本 康

(1988年1月9日受付)

I.内容要旨
過去15年間に当科で外科治療をおこなった感染性心内膜炎(IE)46例の手術成績を検討した.内訳はI群:弁膜症単独の自然弁感染(NVE)29例,II群:先天性心疾患に合併したIE(CHD+IE)11例,III群:置換弁感染例(PVE)6例であった.以上につき病型別,活動期別,起炎菌別,部位別の成績を述べると共に,合併症につき検討を加えた.全体の手術成績は早期死亡3例(I群1例,II群2例)6.5%と良好であった.活動期別では活動期例で15例中2例(13%)と非活動期例(3.2%)に比べ高い死亡率であった.起炎菌別ではブドウ球菌感染例は,罹患弁の破壊が高度でまた術後感染残存例を認めた.IEの手術成績向上のためには術前の内科治療の重要性が再確認された.
PVE症例は術後合併症として感染残存,術後心不全が高率に発生し,手術に当たって感染巣の完全な除去と厳密な術後管理が重要である.外科治療の質的向上には超音波断層心エコーを用いた早期診断により,塞栓症及び進行性急性心不全等の未然な防止が重要である.

キーワード
感染性心内膜炎, 置換弁心内膜炎, 外科治療

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