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日外会誌. 90(1): 145-148, 1989


症例報告

Sacral Chordoma の1例

国立長崎中央病院 外科
国立長崎中央病院 整形外科

林 訑欽 , 古川 正人 , 中田 俊則 , 瀬戸口 正幸 , 草野 敏臣 , 田代 和則 , 松本 智子

(1988年2月22日受付)

I.内容要旨
直腸後部腫瘍は比較的稀で,また発生部位の特殊性から診断及び外科的処置が困難な場合が多い.今回,直腸後部腫瘍の1つである仙尾部脊索腫で,消化器外科と整形外科が協同して副損傷なく経仙骨的に完全摘出することができた症例を経験したので報告する.
症例は64歳男性で,長期間続く肛門部痛を主訴に来院,直腸診にて直腸後壁に弾性硬の可動性のない腫瘤を触知した.単純X線撮影側面像,CT,注腸造影で仙骨の破壊を伴う直腸後部腫瘤を認め,組織生検により脊索腫の診断を得た.手術は腹臥位で,皮膚切開は横切開で行なった.直腸後面より腫瘍を剥離し,仙骨は第3仙骨下端で切断し一塊にして摘出した.両側S3の神経根を確認のうえ温存し,術後の排便排尿障害は認められなかった.術後放射線治療を行ない,再発の徴候は認められていない.

キーワード
仙尾部脊索腫, 経仙骨的切除


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