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日外会誌. 90(1): 114-119, 1989


原著

Ringed Expanded polytetrafluoroethylene による上大静脈血行再建術の実験的研究

日本医科大学 胸部外科

二宮 淳一 , 庄司 佑 , 山手 昇 , 松島 伸治 , 塩田 晶彦 , 児玉 行弘

(1988年1月12日受付)

I.内容要旨
vein graftとしてfibril lengthの異なる2サイズのRinged E-PTFEを成犬20頭の無名静脈一右房(右心耳)間に吻合し術後最長1年間生存した13頭につき,移植graftの開存率,狭窄率及び病理学的検討を行った.その結果,開存率は62%で,高度吻合部狭窄を2例に認めた.両サイズに差はなかった.吻合部の過形成は過半数に軽度~中等度に認められ,かつ中央側で血栓形成初期像と考えられる所見が証明された.内皮細胞の形成は46%に認められ,両サイズのgraftで有意差はなかった.感染所見が46%に認められたが細菌の外膜側からgraft内への進入は両サイズのgraftsとも過半数で阻止されていた.Ringed E-PTFEの変形は全く認められず,かつ長期観察後のgraft短縮も軽度でかつfibril lengthの違いによる有意差もなかった.またgraft内への間葉系細胞の進入は1例を除き程度の差はあれ認められた.なお1例でgraft内面に軟骨細胞を認めたが,その発生機序は今後の精査を必要とした.以上より本graftは静脈用として,使用できるものと考えられる.

キーワード
上大静脈再建, Ringed E-PTFE

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