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日外会誌. 90(1): 102-107, 1989


原著

ホルマリン固定パラフィン標本を用いた乳癌エストロジェンレセプターの免疫組織学的検討

京都府立医科大学 第1外科

川上 定男 , 小島 治 , 上原 泰夫 , 高橋 俊雄

(1988年2月1日受付)

I.内容要旨
乳癌ホルマリン固定パラフィン包埋標本組織のエストロジェンレセプター(ER)の局在を検出するために,ヒト子宮内膜で基礎的検討を行った.ついで63例の乳癌組織のホルマリン固定パラフィン標本を用いて,抗ERモノクローナル抗体による免疫組織学的ER染色をavidin-biotin peroxydase complex(ABC)法でおこなった.その染色性を凍結標本におけるERの染色性およびdextran coated charcoal(DCC)法におけるER測定値と比較検討した.その結果
1)ER陽性率はパラフィン標本で52%,凍結標本で65%,DCC法で62%であった.
2)パラフィン標本を用いた免疫組織学的染色の判定は他の2法に良く一致した.
3)パラフィン標本においても凍結標本の場合と同様にERの局在は核に認められ,細胞個々における染色の不均一性も認められた.
この実験よりホルマリン固定パラフィン標本を用いた免疫組織学的染色は過去の乳癌手術例のERの検索に有用であると考えられた.

キーワード
乳癌, エストロジェンレセプター, 抗エストロジェンレセプター抗体, 免疫組織染色, 内分泌療法

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