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日外会誌. 89(12): 1957-1964, 1988


原著

胃切除後早期ダンピング症候群及び oxyhyperglycemia における門脈血流量変化

京都大学 医学部第1外科(戸部隆吉教授)

森田 清文

(昭和62年12月21日受付)

I.内容要旨
胃切除後の患者でしばしば認められる早期ダンピング症候群とoxyhyperglycemiaについて,グルコース経口負荷後の門脈血流量変化を,超音波パルス・ドプラ法を用いて測定した.健常人においてはグルコース経口負荷約40分後に門脈血流量最大値を取るのに対し,胃切除後の患者では切除術式,再建法に関わらず,約15分後に門脈血流量最大値を得た.胃切除例の中でも強い全身倦怠,冷汗,嘔気,嘔吐,腹痛,下痢等を伴う典型的な早期ダンピングピング有症状例では,無症状例に比し,負荷後10分, 15分, 20分, 25分, 30分, 40分に症状発現時期に一致して,有意に門脈血流量相対値の増加が認められた.
一方,胃切除例の75g OGTT後の血糖値は30分後にピーク値に達する者が多く,ピーク血糖値が250mg/dl以上の者を高度oxyhyperglycemia群,ピーク血糖値が250mg/dl未満, 180mg/dl以上の者を軽度oxyhyperglycemia群とすると,高度oxyhyperglycemia群では,軽度oxyhyperglycemia群に比し,糖負荷後40分,50分,60分の門脈血流量相対値が有意に増加していた.

キーワード
早期ダンピング症候群, oxyhyperglycemia, 門脈血流量, 超音波パルス・ドプラ法

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