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日外会誌. 89(11): 1903-1907, 1988


原著

大動脈弁輪拡大を伴う小児大動脈弁置換術

東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所 循環器小児外科

原田 順和 , 寺田 正次 , 石原 和明 , 黒沢 博身 , 今井 康晴

(昭和62年11月24日受付)

I.内容要旨
1983年2月から1987年8月までの間に,大動脈弁弁輪拡大を伴う小児大動脈弁置換術を12例に行い全例生存した.手術時年齢は2歳から16歳,性別は男子5例,女子7例であった.術式は左室流出路狭窄の形態に応じてKonno法を8例,Nicks法を3例, Manouguian法を1例に行った.Manouguian法では同時に僧帽弁輪を拡大し僧帽弁置換術も行った.大動脈弁輪の拡大率は, Konno法,Manouguian法で180~200%であり, Nicks法では110%程度であった.人工弁はすべてSt. Jude Medical弁を用い,そのサイズは21mm~25mmであった.術後の経過観察期間は1カ月から55カ月であり,残存する肺高血圧症のため遠隔死したKonno法の1例を除いて順調な経過をたどつている.大動脈弁輪拡大を伴う小児大動脈弁置換術は左室流出路狭窄の形態に応じその拡大の術式を選択することにより良好な手術成績が得られるものと考える.

キーワード
大動脈弁輪拡大, 小児大動脈弁置換術, 狭小大動脈弁輪, 大動脈弁下狭窄

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