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日外会誌. 89(11): 1843-1849, 1988


原著

胆囊癌における核DNA patternの解析

東北大学 医学部第1外科教室(主任:佐藤寿雄教授)

後藤 浩志 , 大内 清昭 , 大和田 康夫 , 松野 正紀

(昭和62年9月29日受付)

I.内容要旨
著者らは胆嚢癌では癌腫自体の悪性度がその予後を左右するのではないかと考え,癌腫の悪性度のー指標とされている癌細胞核DNA patternに注目しそれをスコアにより数量化することを試みた.そのDNAscoreと各種の予後規定因子や生存期間との関連を検討することによりDNAscoreの妥当性,意義を検討した. また家兎胆嚢内移植癌を用いて経時的に癌腫の悪性度の変化の検討も併せ行なった.
1. 実験的検討.移植腫瘍は増殖し,肝へ直接浸潤していたが,経時的に測定したDNAscore及び組織像に変化は見られず,腫瘍が増大してもその悪性度は変化しないことが示唆された.2. 臨床的検討.予後良好なグループのDNAscoreは明らかに低値を示した.特に肉眼型で乳頭型,組織型でpapを示す癌腫はそうでないものに比較してDNAscoreは低値であり,予後は癌腫の持つ形態,すなわち悪性度により修飾されることが示唆された. さらに壁深達度ではm, リンパ節転移,脈管侵襲,肝浸潤陰性症例は予後が良好であり,これらの因子とDNAscoreには密な関連を認め,癌腫の悪性度はその進行度を規定する基本となっていることが示された.

キーワード
胆囊癌, 核DNA染色, DNA pattern


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