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日外会誌. 89(10): 1748-1751, 1988


症例報告

悪性萎縮性丘疹症の 1 長期生存例と本邦報告例の検討

北里大学 医学部救命救急医学

島津 盛一 , 今井 恒 , 国分 茂博 , 杉本 勝彦 , 前川 和彦 , 大和田 隆

(昭和62年10月7日受付)

I.内容要旨
腹膜炎,胸膜炎,心嚢炎を合併した悪性萎縮性丘疹症の1症例を経験した.症例は44歳,女性で腹痛,左胸痛を主訴として来院した.7年前より全身に無数の発赤丘疹を認め,その中心は陥凹し白磁色を呈していた.腹膜刺激症状を有し諸検査にて穿孔性腹膜炎を疑い開腹したが,消化管穿孔は不明で,空気漏洩が認められた部位を漿膜筋層縫合にて被覆した.16ヵ月後の今日健在である.本症は細動脈の内膜肥厚による内腔狭窄と血栓形成による閉塞によつて,特徴的皮疹と全身に病変を来たす原因不明の稀な疾患で,本邦では消化管穿孔あるいは中枢神経系障害により14例中8例が死亡し,腹部症状合併の9例では67%が皮疹発症後14ヵ月,腹痛発症後ほぼ3週間以内に死亡している.腸非切除3例は全て生存し,抗凝固剤投与は有効であつた.

キーワード
悪性萎縮性丘疹症, malignant atrophic papulosis, Köhlmeier-Degos 病


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