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日外会誌. 89(10): 1716-1721, 1988


原著

External Velour Warp-knit Dacron 人工血管の器質化に関する研究

国立岡山病院 外科
*) Bob Hope International Heart Research Institute 
**) 岡山大学 医学部第2外科

臼井 由行 , Lester R. Sauvage *) , 内田 發三**) , 寺本 滋**)

(昭和62年11月21日受付)

I.内容要旨
最近開発されたExternal Velour Warp-knit Dacron入工血管の器質化について検討するため,雑種成犬30頭の胸部下行大動脈に内径8mm,長さ6cmの上記人工血管を移植した.人工血管移植後,2週間,1,2,4,6カ月後に犬を屠殺し,グラフトを摘出して肉眼的,病理組織学的に検索した.
移植された人工血管すべてに開存を認めた.グラフト周囲に血腫,仮性動脈瘤,感染は認められなかつた.グラフト内面のThrombus free surface(TFS)スコアは65~99%と高く,Cell coverage(CC)も1カ月目より出現し,2カ月以降にはグラフト内面の85~99%に達した.組織学的には,2カ月で最初グラフト繊維間を満たしていたフィブリン様物質が完全に消失し,グラフトを貫通する器質化(Transinterstices healing)が認められ,またグラフト内面には一層の内皮様細胞が認められた.
今回の実験結果は満足できるものであり,この人工血管は今後,臨床的にも優れた成果が期待できるものと思われる.

キーワード
ダクロン人工血管, External-velour, warp-knit

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