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日外会誌. 89(10): 1611-1615, 1988


原著

胃癌における Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) 活性と予後

金沢大学 医学部第2外科

米村 豊 , 杉山 和夫 , 鎌田 徹 , 伏田 幸夫 , 山口 明夫 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(昭和62年9月7日受付)

I.内容要旨
胃癌242例の原発巣をepidermal growth factor receptor monoclonal antibodyを用い免疫組織学的に検討した.また25例ではbromodeoxyuridine in vivo labelingによりS-phase fractionを測定した.
EGFR活性は242例中76例にみとめられ,その局在は大部分細胞膜にみられたが,一部の例では細胞質内にもみられた. EGFR活性は,肉眼型3• 4型の例に多く,組織型は低分化型腺癌に陽性率が高かった.また深達度では漿膜浸潤をともなう例にEGFR活性が多くみとめられた.
bromodeoxyuridine labeling indexは2.3%~18.6%に分布していたが, EGFR陽性例では12.2±4.6%,陰性例で7.6±3.8%とEGFR陽性例で有意な高値を示した.またEGFR陽性例の予後は陰性例にくらべstage II, IIIで有意に不良であった.しかしながらリンパ節転移,脈管侵襲,腫瘍径とEGFR陽性率は相関をみとめなかった.以上より胃癌組織内EGFR活性は胃癌の予後を予測する指標になると思われた.

キーワード
胃癌, epidermal growth factor receptor, bromodeoxyuridine

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