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日外会誌. 89(8): 1310-1313, 1988


症例報告

内頸静脈穿刺後に発生し,高度溶血を主徴とした動静脈瘻の1治験例

虎の門病院循環器センター 外科

幕内 晴朗 , 布施 勝生 , 小西 敏雄 , 久木田 雅弘

(昭和62年9月26日受付)

I.内容要旨
CVPライン挿入時の動脈穿刺により形成された鎖骨下動脈一内頸静脈瘻に対し,瘻切離術を行い治癒せしめたので報告した.患者は62歳の女性で,腹部大動脈瘤の診断で瘤切除・人工血管移植術を受けた3週間後に,高度の血色素尿と溶血性貧血の出現により発見されたもので,極めて稀な合併症である.中心静脈穿刺法は現在汎用されているが,合併症の発生防止には万全を期す必要があり,特に誤つて動脈を穿刺した場合には,本症合併の可能性も考慮する必要がある.なお溶血に対してはPoloxamer 188およびハプトグロビンの投与が有用であつた.

キーワード
内頸静脈穿刺, 動静脈瘻, 溶血

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