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日外会誌. 89(7): 1127-1131, 1988


症例報告

胃小腸多発穿孔を認めた不全型Degos病の1例

大同病院 外科

金井 道夫 , 近藤 成彦 , 栗木 浩 , 向山 博夫 , 森 光平 , 丹野 俊男

(昭和62年6月3日受付)

I.内容要旨
症例は47歳の男性,主訴腹痛.昭和61年7月18日下肢の疼痛と発熱のため,当院受診する.昭和61年8月5日腹部膨満をともなう腹部の激痛が出現.当科転科となる.胃潰瘍穿孔による急性腹膜炎と診断し,緊急手術を行った.術中,胃に1カ所,回腸に2カ所穿孔を認め,幽門側胃切除,回腸切除を行った.切除標本では,胃に2カ所,回腸に4カ所の多発潰瘍を認めた.組織学的には,潰瘍周囲の粘膜下層の小動脈を中心に内膜の増殖を認めた.同様の変化は,漿膜下や腸間膜内の血管にも認め,この内膜増殖による変化が多発潰瘍の原因と思われ,Degos病と診断した.
術後の検索で回腸に1個,下行結腸に1個潰楊を認めた.術後経過は良好で,10カ月の現在,腹部症状は認めていない.
Degos病はきわめてまれで,欧米で80例,本邦で10例報告されているにすぎない.その中で,皮疹を伴わない不全型Degos病は,Manuelらの症例と自験例のみであった.

キーワード
Degos 病, 消化管多発穿孔, 腹膜炎


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