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日外会誌. 89(7): 1122-1126, 1988


症例報告

食道癌術前に高カロリー輸液中,MRSAによるカテーテル感染から大葉性肺炎を呈した1例

東京医科歯科大学 第1外科

井上 晴洋 , 吉野 邦英 , 滝口 透 , 河野 辰幸 , 山崎 繁 , 五関 謹秀 , 遠藤 光夫

(昭和62年6月9日受付)

I.内容要旨
食道癌術前に高カロリー輸液中,カテーテルの感染からMRSAによる右中下葉の大葉性肺炎をきたした一例を経験した.cefem系抗生剤にはほとんど感受性がなく,MINOやCLDMなどのみに反応した.当科において1986年4月から1年間に施行した食道癌手術症例のうち,術後に細菌検査を施行した47例について検討したところ,術後の喀痰および膿の培養では,MRSAは30%と緑膿菌とならんでもつとも多く,手術前後における細菌感染の起炎菌として重要であった.また術前に強制栄養を施行する場合には,カテーテル感染を予防する意味からも,経鼻チューブが挿入可能な症例では,TPNよりENを優先させるべきと考えられた.

キーワード
MRSA感染症, 高カロリー輸液, カテーテル熱

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