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日外会誌. 89(7): 1014-1021, 1988


原著

イヌを用いた腸管虚血性病変の内視鏡所見に関する実験的研究
-特に蛍光内視鏡的検索-

東京医科歯科大学 第2外科(主任:三島好雄)

岩田 正一朗

(昭和62年8月26日受付)

I.内容要旨
虚血性腸管病変の病態の解明および予後判定に資する有用な診断法を確立する目的で実験的研究を行なつた.イヌの腸間膜動脈にマイクロバリウムを注入して微小循環系の閉塞をおこし,注入量を変化されて一過性病変,狭窄形成性病変,壊死性病変の3型の虚血腸管を作成し,病理組織学的検索を行なつた.同時に内視鏡,蛍光内視鏡および粘膜血流量測定を経時的に施行した.早期に血流回復をみた群では病変が一過性に経過したのに対して,血流回復が遅延した群では狭窄形成性に移行した.フルオレスセインを静注して観察した粘膜面の蛍光所見は,一過性病変で1週後に均一の蛍光色素が,狭窄形成性病変では斑状の蛍光色素が観察された.この蛍光内視鏡所見は水素ガスクリアランス法にて測定した粘膜血流量と相関した.また,虚血腸管の漿膜面の蛍光の観察によりその腸管の生存性の判定が可能であつた.

キーワード
虚血性腸疾患, 蛍光内視鏡, 粘膜血流量

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