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日外会誌. 89(7): 992-998, 1988


原著

活性化リンパ球 (LAK) 細胞の細胞障害活性に対する血清抑制因子の影響に関する検討

岐阜大学 医学部第2外科(主任:坂田一記教授)

鷹尾 博司 , 佐治 重豊 , 杉山 保幸 , 立花 進 , 五島 秀行 , 国井 康彦 , 坂田 一記

(昭和62年7月27日受付)

I.内容要旨
R-IL2誘導LAK細胞を用いたadoptive immunotherapyに関する基礎的研究として,ferritin, IAP, AFP等の血清中非特異的免疫抑制因子および胃癌患者血清の影響,さらにこれに対するsuppressor T細胞の関与等につき予備的な検討を加えた.
1)LAK細胞の細胞障害活性は10%FCSのかわりに健常人AB血清で誘導しても,PBLのそれに比べ有意に高かつた.2)LAK細胞の細胞障害活性に対する非特異的免疫抑制因子(ferritin, IAP, AFP)の抑制効果はPBLに対するそれに比べ有意に軽減された.また組織型別の胃癌患者血清を添加すると,PBLは標的細胞と同じ病理組織型の患者血清によつて有意に高い抑制を受けたが,LAK細胞は何れの患者血清によつても抑制は軽度であった.3)Leu 15-PBLはPBLより,またLeu 15-LAKはLAK細胞より全体として低い細胞障害活性を示す傾向が観察された.4)Leu 15-PBLの細胞障害活性測定時に非特異的免疫抑制因子を添加した場合は,非添加時に比し何れの株化腫瘍細胞に対しても細胞障害活性は有意に低下し,また胃癌患者血清添加により病理組織型と関連した特異的な抑制が観察された.5)Leu 15-LAK細胞の細胞障害活性測定時に非特異的あるいは特異的免疫抑制因子を添加した場合は,何れの標的細胞に対してもほとんど抑制は観察されなかつた.
以上の結果,R-IL2により誘導されたLAK細胞は血清中非特異的,および特異的免疫抑制因子の影響を受け難い様で,suppressor T細胞の関与も少なく,adoptive immunotherapyにおけるLAK細胞の有用性が示唆された.

キーワード
Recombinant interleukin 2, Lymphokine activated killer (LAK) cell, 血清中特異的, 非特異的免疫抑制因子, Supressor T cell

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