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日外会誌. 89(6): 799-804, 1988


総説

膵臓外科の歩みと展望

東北大学 医学部第1外科
仙塩総合病院 

佐藤 寿雄

(昭和63年4月20日受付)

I.内容要旨
1960年以降1988年3月までに東北大学第一外科において経験した膵炎・膵癌661例を基にして膵臓外科の歩みを顧み,併せて将来の展望を試みた.重症急性膵炎例では今後ますます多臓器障害の対策,特に後期にみられる敗血症の対策が重要な課題となるであろう.慢性膵炎例に対する手術の効果については確認されたが,今後は手術のタイミングと手術々式の選択のあり方が問題となる.同時に膵の線維化を如何にして停止させるかが今後の大きな課題である.膵癌は21世紀における大きな宿題として残された. 2.0cm以下の小膵癌でも2.0cm以上の膵癌と同程度の組織学的進展を示しており,早期から脈管侵襲がみられる.小膵癌といえども肝転移再発が多く,膵被膜突破例では術後生存期間が極めて短い.拡大郭清術でもすでに手術の限界が見えている.今後は生体に過大な侵襲を与えないような手術にとどめ,各種集学的手段による総合的治療法が探求されるべきである.

キーワード
急性膵炎, 慢性膵炎, 膵癌


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