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日外会誌. 89(5): 646-654, 1988


原著

Recombinant IL2を用いた各種リンパ球活性化
細胞誘導に関する基礎的研究

岐阜大学 医学部第2外科(主任:坂田一記教授)

鷹尾 博司 , 佐治 重豊 , 杉山 保幸 , 立花 進 , 五島 秀行 , 森田 敏弘 , 坂田 一記

(昭和62年7月6日受付)

I.内容要旨
R-IL2を用いるadoptive immunotherapyに関する基礎的研究として,健常人PBLからR-IL2単独あるいはこれとPHAを併用添加培養し誘導したLAK, あるいは各種P-LAK細胞につき細胞増殖程度および細胞障害活性増強程度を検索し,以下の結果を得た.
1) PBLをR-IL2で培養したLAK細胞の細胞数は14日間で約5倍に増加し,細胞障害活性は培養3日目ですでに検索したすべての株化腫瘍細胞に対し, PBLに比べ有意の増強が観察されたが,その後14日目まではほぽ一定の値であつた. 2)PBLをPHAで3日間培養刺激後R-IL2で培養したP-LAK(P-LAKa)細胞,あるいはLAK細胞誘導開始の3日間PHAを添加したP-LAKb細胞の細胞数は,共に14日間の培養で約65倍に増加し, MKN-28, MKN-45, KATO IIIに対する細胞障害活性は培養日数に従い増強した. 3)培養14日目のLAK細胞の細胞障害活性(K562以外)はP-LAK細胞より有意に高かった. 4)LAK細胞誘導3日目にPHAで4日間添加刺激し,再びR-IL2で培養したP-LAKc細胞の細胞数はPHA添加後増加したものの,細胞障害活性は逆に有意に低下した. 5)培養リンパ球の細胞表面分化抗原腸性細胞の比率は, LAK細胞ではOKT3⁺は増加傾向を, OKT8⁺は有意の増加を, OKT4⁺およびLeu7⁺は減少傾向を示し, OKT4⁺/OKT8⁺比は有意の低下を示した.また,P-LAK細胞ではOKT3⁺およびOKT8⁺は有意の増加を, OKT4⁺• Leu7⁺ • OKT4⁺ /OKT8⁺比は有意の低下を示した. 6)培養14日目の細胞数の増加率と細胞障害活性増強率を乗じた値を細胞障害活性総増強率と規定すると, P-LAK細胞の方がLAK細胞よりも有意に優れていた.
以上の結果から,健常人PBLよりR-IL2培養によつてLAK細胞を誘導増殖させることは可能であるものの細胞数増加は十分ではなく,培養初期にPHAを添加することにより細胞数は有意に増強され,細胞障害活性総増強率も有意に上昇した.

キーワード
Recombinant interleukin 2, Lymphokine activated killer (LAK) cell, PHA 刺激 LAK 細胞, 4時間51Cr release assay, 細胞膜表面分化抗原

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