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日外会誌. 89(4): 617-621, 1988


症例報告

腹部大動脈完全閉塞,腎不全をきたしたDeBakey IIIb型 解離性大動脈瘤の1治験例

横浜栄共済病院 胸部心臓血管外科
*) 金沢大学 医学部第1外科

渡邊 剛 , 大平 政人 , 竹村 博文 , 田中 信行 , 岩 喬*)

(昭和62年3月27日受付)

I.内容要旨
腹部大動脈完全閉塞,急性腎不全を合併したDeBakey IIIb型解離性大動脈瘤のきわめてまれな救命例を報告する.症例は50歳男性で,背部激痛と無尿,両下肢痛を主訴として来院し上記診断にて直ちに人工透析を開始した.発症後50病日に右鎖骨下大腿動脈バイパスを施行し, 110病日腎機能の急激な悪化を来したため残存腎機能の廃絶防止を目的として大伏在静脈による腎血行再建術を施行し良好な結果を得た.術後は一度も人工透析を必要とせず,術後90日目に軽快退院した.

キーワード
DeBakey IIIb解離性大動脈瘤, 腹部大動脈完全閉塞, 急性腎不全

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