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日外会誌. 89(4): 613-616, 1988


症例報告

非穿通性腕頭動脈損傷について

浜松医科大学 第1外科

原田 幸雄 , 山下 克司 , 梅原 靖彦 , 大場 範行 , 竹下 力 , 山口 貴司 , 吉村 敬三

(昭和62年3月18日受付)

I.内容要旨
非穿通性胸部外傷に伴う腕頭動脈損傷は少なく1958年の最初の血行再建から56例の報告があるが詳細不明の9例を除き,今回経験した治験例1例を加えて検討した.原因はシートベルト傷害の1例を含み交通外傷によるものが85.1%と最も多く,症状として右橈骨動脈拍動の減弱が33.3%の症例にみられた.胸部レ線所見は縦隔陰影の拡大が76.6%にみられたが,ポータブル撮影では判定が困難なこともあり経時的な観察が必要であり,血管造影で診断は確定する.同時に他の主要血管,気道,脳などの損傷を伴う症例もあり,我々の症例は脳梗塞を合併したが血行再建後症状は改善した.65.9%は受傷後7日以内に手術を受け体外循環や低体温を用いたものもあるが,25%は補助手段なしに腕頭動脈を遮断し,その際右浅側頭動脈圧のモニターが有用である.損傷部の直接縫合よりもその部を十分切除した後グラフト移植が安全である.

キーワード
非穿通性胸部外傷, 腕頭動脈損傷, 脳梗塞

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