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日外会誌. 89(2): 292-296, 1988


症例報告

CA 19-9産生肺癌の2症例
―組織学的検索を中心として―

島根医科大学 第1外科

長見 晴彦 , 野原 隆彦 , 山内 正信 , 山田 公弥 , 中瀬 明

(昭和62年2月2日受付)

I.内容要旨
血清carbohydorate-antigen 19-9(以下CA19-9と略す)高値を示す肺癌の2症例を経験した.組織学的には,小細胞癌と腺癌であつた.CA19-9は消化器癌において有意に増加するとの報告が多いが,肺癌において高値を示した症例報告は非常に稀である.我々は,肺癌からのCA19-9産生を証明する為に,Sternbergerらによって開発されたperoxidase anti peroxidase法(以下PAP法と略す)により肺癌組織の染色を行なった.2例とも陽性に染色されたが,特に血清CA19-9値が27,369U/mlと異常高値を示した症例は,殆どの癌細胞が陽性に染色されていた.これらの事から,今後血清CA19-9陽性の患者においては,消化器疾患のみならず呼吸器疾患の検索も念頭に要く必要があると思われた.

キーワード
肺癌, 腫瘍マーカー, CA19-9, 酵素抗体法 (PAP法)


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