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日外会誌. 89(2): 282-285, 1988


症例報告

胆石症術後に発生した後腹膜乳糜嚢腫の 1例

名古屋市立城西病院 外科

丹羽 宏 , 住田 紀夫 , 石原 公郎 , 星野 輝彦 , 岩瀬 弘敬 , 桑原 義之

(昭和62年1月10日受付)

I.内容要旨
43歳女性の後腹膜乳糜嚢腫を経験した. 3年前に当科にて胆石症で胆嚢摘出術,総胆管切開術を受けた.その後しばらくして右季肋部に腫瘤を自覚していたが,放置していた.今回,腹痛を主訴として受診した際に腹部腫瘤を触れるため精査を実施し,後腹膜嚢腫の診断にて手術を施行した.十二指腸水平脚下縁の後腹膜に直径約5cmの円形黄白色の嚢腫があり内容液は乳糜で,組織学的には嚢状リンパ管腫であった.後腹膜に発生する乳糜嚢腫は極めて稀で本邦では7例の報告があるのみでさらに胆石症術後に発生したとするものはない.本例の発症機転としてわれわれは門脈リンパ管吻合,原始リンパ嚢等のリンパ系の先天異常に加え,手術侵襲によるリンパ流の途絶,破壊からリンパ管内圧の上昇がおこり嚢腫が形成されたと考えた.

キーワード
乳糜嚢腫, 後腹膜, 胆石症術後


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