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日外会誌. 89(1): 122-127, 1988


症例報告

擬性大動脈縮窄症に併発した遠位弓部大動脈瘤の 1治験例

東京大学 医学部第2外科

篠原 一彦 , 馬場 紀行 , 高山 豊 , 佐藤 紀 , 高木 淳彦 , 多田 祐輔 , 出月 康夫

(昭和61年12月20日受付)

I.内容要旨
症例は29歳女性.患者は15歳にて胸部異常陰影と心雑音を契機に擬性大動脈縮窄症と診断された.14年間の経過観察の後,屈曲部の近位に弓部大動脈瘤の併発を認めたため, 一時的体外バイパス下に大動脈瘤を切除し人工血管を移植した.瘤は径5cm, きわめて菲薄化した壁で,左総頚動脈分岐直後にその頚部を認める嚢状動脈瘤で,瘤本体から左鎖骨下動脈を分岐していた.
この稀な疾患は本例の如く長期経過の中で大動脈瘤を併発することがあり手術適応の決定という点からも,興味深い1例であるため若干の文献的考察を加えて報告する.

キーワード
擬性大動脈縮窄症, 弓部大動脈瘤, 一時的体外バイパス

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