[書誌情報] [全文PDF] (1444KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 89(1): 116-121, 1988


症例報告

経皮経肝胆道鏡検査でも診断治療が困難であつた原発性肝内コレステロール結石症の1例

名古屋大学 医学部第1外科
*) 名古屋大学 医学部第2内科

近藤 哲 , 二村 雄次 , 早川 直和 , 神谷 順一 , 塩野谷 恵彦 , 乾 和郎*) , 中沢 三郎*)

(昭和61年10月17日受付)

I.内容要旨
症例は60歳の男性で,肝右葉後下腹側胆管枝の憩室状の限局性拡張部内に径約3mmの結石数個が充満し,全体に屈曲蛇行し軽度の不整拡張を有する肝左葉外側区には径3~4mmの結石が単独で3カ所に散在していた. なお他の領域の胆管形態は正常で胆嚢結石も併存していた.すべてコレステロール結石であった.
肝内結石の存在診断はERCでは全くできず, PTCSでも左葉はできなかつたが,胆管形態の異常の診断には有意義であった.本例のように著明な胆管拡張を伴わない上流側末梢部の肝内結石の診断には,胆管内腔側からのアプローチでは限界がありUSとenhanced CTの組合せが有用と思われた.
右葉の結石はPTCSをもつてしても切石は不可能であった.切石を意図しながらも不成功に終つたのは本例が初めての経験である.胆管形態の精密診断の後に,原発性肝内結石症と診断し必要にして十分な肝領域切除を行い治癒せしめることができた.

キーワード
原発性肝内コレステロール結石症, 経皮経肝胆道鏡検査, 肝内結石症


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。