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日外会誌. 89(1): 103-108, 1988


原著

心臓血管外科領域における術中断層エコー法の応用

横浜栄共済病院 胸部心臓血管外科
*) 金沢大学 医学部第1外科

渡邊 剛 , 大平 政人 , 竹村 博文 , 田中 信行 , 岩 喬*)

(昭和62年3月11日受付)

I.内容要旨
心臓血管外科領域における術中断層ニコー法はあまり行われていない.今回心臓血管外科手術36例に対し7.5MHzの高周波小型プローブを用いて術中断層エコー法を行い,その有用性につき検討した.冠動脈疾患では冠動脈主要分枝の狭窄病変の検出,動脈壁の性状の評価が可能であった.またMyocardial Bridgingにおける心筋内冠動脈走行の把握が可能でsupraarterial myotomyに際しきわめて有用であった.弁膜疾患では大動脈弁の石灰化,弁尖の可動性, coaptationの評価に,また僧帽弁の弁下部病変の観察と術直後,特に直視下交連切開術の効果判定に用いて良好な結果を得た.解離性大動脈瘤では解離の形態,範囲,進展様式,及び解離腔,大動脈分枝の状態の術中の把握が可能で手術方針決定のための有用な補助手段と思われた.大動脈腸骨動脈閉塞症では術前の大動脈造影にでも評価し得ない閉塞部位より遠位の病変の検索に,また血行再建後の吻合部の観察に優れていた.以上より術中断層エコー法は,詳細な情報を,安全に繰り返し得ることができるため術中手術方針決定とその効果判定に有効であることが示された.

キーワード
術中断層エコー法, 虚血性心疾患, Myocardial Bridging, 解離性大動脈瘤, 弁膜疾患


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