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日外会誌. 88(11): 1644-1650, 1987


症例報告

肝内門脈分岐異常を伴つた左側胆嚢の1例

岐阜大学 医学部第1外科
*) 太田病院 

尾関 豊 , 鬼束 惇義 , 林 勝知 , 佐々木 英*)

(昭和61年9月26日受付)

I.内容要旨
肝内門脈分岐異常を伴った左側胆嚢の1例を報告し,左側胆嚢本邦報告例を集計した.
症例は23歳,男.上腹部痛,発熱に腹膜刺激症状をきたし緊急開腹術を施行.胆嚢は肝円索の左側で肝床を形成する左側胆嚢であったが,胆嚢炎の所見はなく,試験開腹術となった.術後の腹部超音波検査にて以下の所見をえた.胆嚢は頸部が右側,体底部が左側を向き,底部は常に肝円索の左側に存在したことから左側胆嚢と診断可能であった.胆嚢内には長期間大きさの変化しない多発性高エコー小隆起性病変を認め, コレステロールポリープと考えられた.門脈は左枝が𦜝部を形成せず,右枝に𦜝部と類似した構造を認め, この𦜝部から前枝,後枝および内側枝が分岐し,腟部盲端から肝円索が出ていた.
門脈分岐異常は左側胆嚢の発生を考える上で重要な意義をもつ可能性があり,両者の診断には超音波検査が非常に有用であった.

キーワード
左側胆嚢, 肝内門脈分岐異常, 超音波診断

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