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日外会誌. 88(10): 1407-1414, 1987


原著

血液型関連抗原Lewisxおよびシアル化Lewisxに対するモノクローナル抗体の癌患者血清への診断学的応用

札幌医科大学 外科学第2講座(主任:小松作蔵教授)

伊黒 隆

(昭和61年12月11日受付)

I.内容要旨
赤血球関連抗原Lewisx(以下Lex)およびシアル化Lewisx(以下シアル化Lex)に対するマウスモノクローナル抗体CGAD2,CSLEX1を用いて種々の癌患者血清中にこれらの抗原を検出した.
方法はモノクローナル抗体で感作された,ウシ赤血球による逆受身凝集反応を用いた.
Lexは,肺腺癌症例15/27(56%), 肺扁平上皮癌症例5/6(83%)など組織型の不明のものを含む肺癌総症例25/46(54%)に陽性であった. また,膵臓癌症例2/4(50%),胃癌症例12/33(36%)など他の部位の癌を含む総癌症例41/105(39%)に陽性であった.一方,シアル化Lexは,肺腺癌症例41/85(48%),肺扁平上皮癌症例16/52(31%),大腸癌症例7/19 (37%),乳癌症例11/29(38%)に陽性であり,その他の癌を含む総癌症例100/384(26%)に腸性であった.
健常者80例には陽性例を認めなかった.この2つの抗体でともに検索し得た46例の肺癌症例については,その陽性例を合計すると陽性率は70%に達した.
また,LexはCEA値の比較的低い症例においても陽性となる傾向が認められた.赤血球抗原に関連したこれらの物質は新しい腫瘍マーカーとして有用であることが示唆された.

キーワード
モ ノクローナル抗体, Lewisx(ルイスエックス), シアル化Lewisx, CA19-9, 腫瘍マーカー

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