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日外会誌. 88(8): 1036-1041, 1987


症例報告

交叉型自家静脈バイパス術で救肢しえた thromboangitis obliterans の1例

*) 京都府立与謝の海病院 外科
**) 京都府立医科大学 第2外科

神吉 豊*) , 佐藤 伸一**) , 野村 秀人*) , 鴻巣 寛*) , 山岸 久一**) , 大森 吉弘*) , 岡 隆宏**)

(昭和61年10月22日受付)

I.内容要旨
我々は,右第1趾の安静時疼痛,難治性潰瘍を主訴としたTAOの1例に対し,大伏在静脈を用いて対側の大腿動脈から患側の後頸骨動脈にいたる約75cmの交叉型long bypassを作製し,満足のいく結果を得た.術前の血管造影では右総腸骨動脈以下の主要動脈が造影されずrun off 不良症例であったが,術中造影を施行したところ,後頸骨動脈および足底動脈が側副血行路を介して造影されていたため, cross-overのFemorotibial bypass術を施行した.術中graftの拍動が微弱化したが, graftの分枝からtubingしウロキナーゼ24万単位, PGE110γ, ヘパリン1,000単位を一日量とした持続動注を行つて回復せしめることができた.この動注は術後も2カ月にわたつて継続したが,術後1年を経過した現在graftは開存しており,患者は社会復帰している.この症例をとおし, TAOに対する外科的治療法ならびに腸骨動脈閉塞例, poor run off 症例の術前血管造影の問題点および術中造影の意義,ならびにかかる症例に対する術中からの持続動注療法に対し検討を加えた.

キーワード
thromboangitis obliterans, cross over-femorotibial bypass 術, PGE1持続動注

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