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日外会誌. 88(7): 839-844, 1987


原著

尾状葉胆管枝のX線学的検討
―内視鏡的逆行性胆道造影像について―

名古屋大学 医学部第1外科
*) 八千代病院 外科

早川 直和 , 二村 雄次 , 神谷 順一 , 塩野谷 恵彦 , 七野 滋彦*) , 佐藤 太一郎*) , 片山 信*)

(昭和61年9月22日受付)

I.内容要旨
尾状葉胆管枝と肝門部胆管との位置的関係をX線解剖学的に解明するために, 内視鏡的逆行性胆管造影像 (以下ERCと略) を用いて, 尾状葉胆管枝を検討した. 1985年12月までに八千代病院で施行されたERCの連続シリーズより以下の3つの条件を満たした100例を対象とした. 1) 最初に行われた直接胆道造影であること, 2) 閉塞性黄疸を呈していない症例であること, 3) 肝門部に病変のない症例であること.
尾状葉胆管枝と考えられる枝は, 1) 右尾状葉を頭側から肝門部へ向かつて下大静脈に沿つて走行すると考えられる枝 (以下B1rと略, 32例に確認) , 2) 左尾状葉の頭側から肝門部へ向かつて走行する枝 (以下B1lsと略, 19例に確認) , 3) 左尾状葉を左外側から肝門部に向かつて走行する枝 (以下B1liと略, 37例に確認) , 4) 尾状突起から肝門部に向かつて走行する枝 (以下B1cと略, 5例に確認) の4種類の枝が認められた. 53例にいずれかの尾状葉胆管枝が確認できた. 4枝すべて確認できたのは2例, 3枝確認できたのは7例, 2枝確認20例, 1枝確認24例であつた. 臨床の場で尾状葉胆管枝の検討を行うには, 臨床で用いられている検査法での尾状葉胆管枝の同定が重要と考えられるがこれまでのところこの概念に立脚した研究はみられない. 今回のERCを用いた検討では尾状葉胆管枝の造影率は低いが, 胆道X線造影像において尾状葉胆管枝が同定できることが示唆された.

キーワード
尾状葉, 尾状葉胆管, 肝門部胆管, 内視鏡的逆行性胆道造影


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