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日外会誌. 88(7): 832-838, 1987


原著

原発性小腸悪性腫瘍の治療成績

大垣市民病院 外科

松下 昌裕 , 蜂須賀 喜多男 , 山口 晃弘 , 磯谷 正敏 , 石橋 宏之 , 加藤 純爾 , 神田 裕

(昭和61年8月20日受付)

I.内容要旨
Treitz靱帯からBauhin弁までの原発性小腸悪性腫瘍40例について治療成績を中心として検討した. これらの組織学的うちわけは平滑筋肉腫14例, 悪性リンパ腫12例, 癌腫14例である. 手術法は広範囲リンパ節郭清を含む小腸切除を基本術式とし, 悪性リンパ腫と癌腫には補助化学療法を加えた. 肉眼的治癒切除率は平滑筋肉腫57.1%, 悪性リンパ腫50.0%, 癌腫61.5%であり, 手術直接死亡を除いた5年累積生存率は平滑筋肉腫21.4%, 悪性リンパ腫53.0%, 癌腫43.3%であつた. 生存率を術前の腫瘍による合併症別にみると, 穿孔例の予後は不良であつたが, 出血例, イレウス例の予後は対照例と大差なかつた. 進行度別に検討するとps (+) 例はps (-) 例より有意に生存率が不良であり, n (+) 例はn (-) 例より生存率が不良な傾向だつた. また, 肉眼的治癒切除例は非治癒切除例に比べ有意に生存率が良好であり, 治癒切除例の5年累積生存率は, 平滑筋肉腫40.0%, 悪性リンパ腫83.3%, 癌腫83.3%であつた.

キーワード
原発性小腸悪性腫瘍, リンパ節郭清, リンパ節転移, 累積生存率


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