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日外会誌. 88(7): 802-807, 1987


原著

Interleukin2 (IL-2) 脾内投与による担癌生体内でのlymphokine-activated killer (LAK) 細胞活性の増強とその腫瘍転移抑制効果

近畿大学 医学部第1外科学教室

奥野 清隆 , 大西 博昭 , 高木 宏己 , 中村 哲彦 , 国土 修平 , 安富 正幸

(昭和61年9月6日受付)

I.内容要旨
担癌マウスの脾に直接interleukin 2 (IL-2) を投与してin situで効率よくlymphokine-activatedkiller (LAK) 細胞を誘導する方法を開発し, さらにその抗腫瘍効果に関する検討を行なつた. C3H/HeNマウスに同系由来X5563腫瘍細胞 (2×106個) を皮内接種し, 10日後にこの腫瘍結節を外科的に切除する. ところがこの時点ですでに微少遠隔転移が存在するためマウスは術後約3週以内に全例肝転移などで腫瘍死する. この実験系において手術当日より連日3日間, 脾内に直接IL-2を投与してその治療効果を検討した結果, 生存日数は著明に延長し, また組織学的検索にても脾のリンパ球は増殖し, 肝に転移巣は認めなかつた. IL-2脾内投与したマウスの脾細膨からはin vitro assayにおいて著明なLAK活性の増強が認められた. またヒトrecombinant IL-2を用いた場合もマウスIL-2に比較してはるかに高単位の投与量を必要とはしたが同様のin vivo有効性を確認できた.  静脈内投与や皮下投与では有効性が乏しく, 本法はIL-2に関する限り効果的な投与法であると考えられた. また臨床応用を考える場合脾動脈にカテーテルを挿入して高濃度のIL-2を投与することは手技的にも可能で本実験系はそのPrototypeと考えられる.

キーワード
インターロイキン2, 脾内投与, 担癌脾, LAK細胞

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