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日外会誌. 88(6): 735-742, 1987


原著

膵癌膵内進展に関する臨床病理組織学的ならびに免疫組織学的検討

名古屋大学 医学部第2外科
*) 名古屋大学 病態制御研究施設生体防御研究部門

中尾 昭公 , 市原 透 , 野浪 敏明 , 原田 明生 , 高木 弘 , 越川 卓*) , 名倉 宏*)

(昭和61年7月24日受付)

I.内容要旨
膵癌の膵内進展について,門脈合併膵全摘術を施行した30例の全摘膵を病理組織学的ならびにCEA,CA19-9,Dupan 2に対する抗体を用いた免疫組織染色も施行して検討した.また術前の各種画像診断や術中所見,摘出膵膵管造影とも対比して検討した. 
HE染色では膵頭部癌25例中9例(36%)に癌の体尾部進展を認めたが,膵体尾部癌4例には頭部側への進展は認めなかつた.免疫組織染色も施行して検討すると膵頭部癌の体尾部進展の診断が容易となり,随伴性膵炎による体尾部の増生した線維性間質中の微小癌蜂巣の診断も可能となつた.そして体尾部進展なしと診断された膵頭部癌16例中6例に体尾部進展が認められ,結局,膵頭部癌25例中15例(60%)が体尾部進展を有し,すべて連続性進展と診断された.
膵頭部癌で体尾部進展を認めた症例の特徴は門脈系浸潤や体尾部の硬化が高度であり,ERPは主膵管閉塞型で,摘出膵膵管像は主膵管壁の不整あるいは分枝造影の不良であつた. 
膵頭部癌の膵内進展についてはこれらの所見を参考に,従来の術中迅速病理診断に加えて術中迅速免疫組織染色も施行し検討すれば,より正確に診断することが可能となろう.

キーワード
膵癌, 膵内進展, 免疫組織化学, 膵管像, 門脈合併膵全摘

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