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日外会誌. 88(6): 696-700, 1987


原著

AFP 産生胃癌の臨床病理学的検討
―胃癌における AFP の意義―

金沢大学がん研究所 外科

高橋 豊 , 磨伊 正義 , 萩野 知己 , 上田 博 , 沢口 潔 , 上野 雅資

(昭和61年8月16日受付)

I.内容要旨
血清AFPが高値を呈し,酵素抗体にて胃癌細胞にAFPの局在がみられるAFP産生胃癌の15例を臨床病理学的に検討するとともに,胃癌におけるAFPの臨床的意義について検討した.AFP産生胃癌の頻度は全胃癌の3.9%で,その特徴として萎縮領域に発生するBorrmann 2型,3型で,乳頭状腺癌や低,中分化型腺癌に多くみられ,ほとんどが髄様増殖を示していた.臨床的には肝転移を伴う症例が80%にも認められ,その内半数が術後に初めて発見される症例であり,それらの症例では画像診断による発見に先立つてAFPの再上昇がみられた.酵素抗体染色による検討では,血清AFP値と染色の程度とのあいだに相関はみられなかつた.また5例で原発巣とリンパ節転移巣,肝転移巣との染色程度を比較したところ,3者の間にほとんど差異はみられなかつた.さらに血清AFP陰性の早期胃癌68例においてAFP陽性細胞の有無を検討したところ,1例にも陽性細胞が見出されず,潜在性のAFP産生胃癌の存在を明らかにすることはできなかつた.

キーワード
AFP 産生胃癌, 胃癌の肝転移, 酵素抗体染色

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