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日外会誌. 88(6): 675-679, 1987


原著

消化器手術時における血中エンドトキシンの推移について

東北大学 医学部第1外科

中川 国利 , 酒井 謙次 , 松原 修二 , 大内 清昭 , 大和田 康夫

(昭和61年7月24日受付)

I.内容要旨
肝硬変例や閉塞性黄疸例を中心に,消化器手術時における血中エンドトキシン(Et)の推移と術後合併症との関連を検討した. 
肝硬変や黄疸を認めない対照群(27例)では,術後1日目のEtは6.1±3.9pg/mlと増加は軽度で,1例にのみ縫合不全を認めた.一方,肝硬変例(18例)では,術後Etは著明に増加・遷延した.特に脾合併切除例や肝切除例では,術後1日目151.0±46.1pg/ml,101.3±36.2pg/mlと著しく増加し,また遷延傾向も著明で,肝不全で1例を失つた.閉塞性黄疸例(13例)でも,術後1日目21.6±4.8pg/mlと増加し,合併症として消化管出血2例およびDIC 1例を認めた.以上より,肝硬変例や閉塞性黄疸例では術後Etは著明な増加・遷延傾向にあり,多臓器不全を誘発する可能性が示唆された.

キーワード
エンドトキシン血症, 肝硬変症, 閉塞性黄疸, 網内系機能

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