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日外会誌. 88(3): 294-302, 1981


原著

肝再生に及ぼす経腸栄養法の効果についての実験的研究
―とくに分岐鎖アミノ酸と脂肪の影響―

横浜市立大学 医学部第2外科(主任:土屋周二教授)

鬼頭 文彦

(昭和61年5月14日受付)

I.内容要旨
肝切除後の肝再生に対するカロリー量,Ca/N比,分岐鎖アミノ酸,脂肪の影響を検索する為にラットを用いて実験を行つた.
実験は,1)経口摂取群,2)経腸栄養群,に分け行つた.1)では70%肝切除後1~7日間自由に飲食させたラットと,2)では1)と同量のカロリーをelemental dietにて投与し,分岐鎖アミノ酸と脂肪の量を変化させたラットにつき,肝再生の量と質を検討した. 
肝切除後自由に経口摂取させた群では肝再生は良好で7日目の肝復元率は87%であり脂肪肝も認められなかつた.経腸栄養群では分岐鎖アミノ酸(BCAA)を37%と増量した群で肝復元率は88%と良好であつたが他のED群と同様脂肪肝が認められた.BCAA 37%のEDに脂肪乳剤3ml/dayを追加投与した群では肝復元率は92%ともっとも良好でさらに脂肪肝の程度も著しく軽度となつた. 
この実験より肝切除後,良好な肝再生を得る為には分岐鎖アミノ酸の大量投与と脂肪乳剤の併用が有効であることが示唆された.

キーワード
肝再生, 分岐鎖アミノ酸, 脂肪乳剤, 経腸栄養, 脂肪肝


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