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書誌情報]
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日外会誌. 88(2): 211-215, 1987
症例報告
胃に穿孔したアメーバ性肝膿瘍の 1 症例
I.内容要旨症例は48歳の男性で,主訴は上腹部痛,粘血便,下痢であつた.海外渡航歴はない.発熱,貧血,白血球増加,血沈値の亢進を伴うが,その他の血液生化学検査にて著変を認めなかつた.胃内視鏡にて胃角部にDelleを伴う粘膜面の膨隆を認め,腹部エコー,腹部CTにて肝右葉上部および左葉下部に膿瘍の存在が認められた.直腸鏡にて直腸粘膜の膨隆と浅い潰瘍が観察された.頻回の便検査では赤痢アメーバは検出されなかつたが,血清反応は陽性を示した.アメーバ性大腸炎およびアメーバ性肝膿瘍の胃穿孔と診断し,Metronidazole, tetracyclineの投与開始した.突然に血性痰の排出が出現し,右葉肝膿瘍の胸腔内穿孔が疑われたので開腹ドレナージを行い,良好な経過をえた.肝膿瘍壁の壊死物質より赤痢アメーバが発見された.
本症のように胃に穿孔したアメーバ性肝膿瘍の症例はまれで,文献上数例を数えるのみである.
キーワード
赤痢アメーバ症, 肝膿瘍, 膿瘍穿孔
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