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日外会誌. 88(1): 123-126, 1987


症例報告

鈍的外力による大腿仮性動脈瘤破裂の1治験例

土浦協同病院 心臓血管外科

伊藤 金一 , 長岡 秀郎 , 加藤 奨一 , 荒井 裕国 , 印南 隆一 , 登内 真

(昭和61年3月31日受付)

I.内容要旨
44歳の男性で,主訴は左大腿部腫脹,疾痛である.入院時,Hb 4.4g/dlと著明な貧血あり.
血管造影にて,15×8cmの動脈瘤を認め,7年前の鈍的外力により生じた大腿仮性動脈瘤破裂と診断した.瘤切除,人工血管移植による血行再建により治癒せしめた.動脈損傷における仮性動脈瘤の発生頻度は約7%と近低く,鈍的外力に起因するものはさらに1.2%と低頻度である.大腿動脈瘤の合併症は,血栓形成などによる急性閉塞,下肢の壊死,破裂による出血などがあり,診断後は可及的早期に手術することが望ましく理想的には,本症例で行つた瘤切除,血行再建を施行すべきである.

キーワード
大腿仮性動脈瘤, 鈍的外力, 破裂性動脈瘤

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