[書誌情報] [全文PDF] (4280KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 88(1): 41-48, 1987


原著

Stage IV 胃癌の術前超音波診断
―とくに大動脈周囲リンパ節転移の種々像を中心に―

*) 鹿児島大学 医学部第1外科
**) 癌研究会附属病院 外科

吉中 平次*) , 島津 久明*) , 田辺 元*) , 馬場 政道*) , 愛甲 孝*) , 野村 秀洋*) , 西 満正**)

(昭和61年4月22日受付)

I.内容要旨
胃癌患者236例(うちStage IV,85例)を対象に,術前超音波検査によるStage IVの診断成績をStage IVとなつた背景因子別に検討した.sensitivityで結果をみると,P1:28.6%(2/7例),P2:45.5%(5/11例),P3:66.7%(12/18例),H1:50%(4/8例),H2:71.4%(5/7例),H3:62.5%(5/8例),S3:43.6%(17/39例),N3:16.7%(2/12例),N4:70%(28/40例)であつた.少なくとも診断の立場からはP2とP3,H2とH3は一緒にして良いと思われ,その診断成績はP2~3:69%(20/29例),H2~3:86.7%(13/15例)で各々10%,20%の向上が期待できた.S3の診断成績は不良であつたが,切除肉眼的S3に占めるsei,siは38.5%にすぎず,肉眼的S3症例については機会を改めて検討し直す必要があつた.リンパ節転移の術前予知はN2:75%(30/40例)が最も良く,N4はこれについで良好であり,なかでも大動脈周囲の転移が関与したものに限ると79.4%(27/34例)に予知しえた. 
大動脈周囲のリンパ節転移状況は,超音波像における形態から,i)plate型,ii)sandwich型,iii)片側,複数型,iv)片側,単発型の4つに分けられ,手術適応の問題,合併療法の選択,郭清の意義,あるいは予後の面で必ずしも同一視できないと思われた.左腎静脈付近とくにその頭側に単発の転移を描出する症例で,PやH因子の無いものは郭清して長期生存の可能性が期待できる.

キーワード
Stage IV 胃癌, 胃癌の術前超音波診断, 胃癌の大動脈周囲リンパ節転移, 胃癌の Virchow 転移, 腹膜播種

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。