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日外会誌. 88(1): 20-25, 1987


原著

冷凍自家血液による食道癌の3根治手術例

滋賀医科大学 第1外科

塩貝 陽而 , 宮下 史郎 , 橋本 敏和 , 土増 聡 , 小玉 正智

(昭和61年4月8日受付)

I.内容要旨
冷凍自家血輸血は輸血の副作用がなく長期保存の可能な理想的な輸血法である.しかし供血者が患者自身であるため採血に際し自ずとさまざまの制約が生じてくる.高齢者が多く術前状態が優れず,また術中出血量も多い食道癌手術3症例に冷凍自家血輸血のみで手術を行つた.術前後を通じて肝機能(GOT・GPT・LDH・total bilirubin)はほぼ良好な経過を経た.一方RBC・Ht・Hbは術前の300~400mlの2回採血により術直前でも採血前値まで回復しえないまま手術を行つた.術後はそれらの数値はさらに低下するが臨床的には問題はなく術後2~5ヵ月で採血前値に回復した.血液ガス酸素分圧に関して冷凍自家血輸血施行症術は通常輸血と差異は認められなかつた.冷凍自家血輸血は労力とコストを要するが,食道癌手術にも使用し得る優れた輸血法である.

キーワード
冷凍自家血輸血, 食道癌根治手術

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